中小企業の経営幹部・管理職の育成の中で
会社の数字、すなわち経営数値について
お伝えすることがあります。
会社の実際の数字を使いながら
今年度のデータを見つつ、前年度との
比較をする時もあります。
その例の1つとして、
売上・利益の面で言えば、
社長から
「売上」
と
「粗利率」
の両方を達成するように言われると、
社員の方はどちらを優先するべきか
悩んでしまうことがあります。
例えば、たくさん販売しようと思うと、
多少なりとも値引きしないといけない状況もあります。
売上は達成できる一方で、利益率が下がります。
一方で、利益率を確保しようと思うと、
価格メリット出せずに、売上目標が達成しないこともあります。
業種に限らず、こういうことはよくあります。
その時にお伝えするのが
「粗利率」
と
「粗利額」
です。
「粗利率」と「粗利額」の関係をおさらいすると
例えば、
・商品Aの売上100万円で、粗利「率」10%の粗利「額」は10万円
・商品Bの売上 50万円で、粗利「率」20%の粗利「額」は10万円
商品A、商品Bともに売上も粗利率も違っていても、粗利額は同じ10万円です。
当然ながら、人件費などの会社の経費は
「率」ではなく「額」で払います。
一定レベルの「粗利額」がないと、
経費を払ってしまうと赤字になってしまいます。
一定の売上・粗利率を確保するということは
実は粗利額を確保することに他なりません。
粗利額の目標を達成するための手段として
売上目標があるという方もいらっしゃいます。
つまり重要なのは、売上・利益率だけでなく
「粗利額」なのです。
粗利額達成に向けて売上・利益率のバランスを
コントロールできるかが重要なのです。
例えば、値引きとは逆に値上げという場面もあります。
経営コンサルティングをする中で、クライアント先に
そのような提案をおこなうこともあります。
そうすると、粗利率は上がります。
そこで、粗利額の視点で考えることが重要です。
例えば、いくら「率」を上げても、「額」が取れないなら
値上げの効果は不十分です。
値下げの場合も同じです。
すなわち、「率」を意識しながら、「額」も意識する
そのバランス感覚が重要なのです。
このようなことを、クライアントの実際のデータを
使って、売上構成や粗利構成を見ながらお伝えすると、
「粗利率」と「粗利額」の両面を考える
ことができ、経営することの難しさを痛感するとともに
経営者のバランス感覚が理解できるのです。