顧客提供価値(顧客価値)とは
経営に関する本で出てくる
「顧客提供価値」
※その他、顧客価値、提供価値や提供する価値など色々な言い方があります
顧客提供価値(顧客価値)とは、字面の通り、
自社が、お客さまに、どんな「価値」を提供しているのか?
を説明したものです。
お客さまは、その価値に対してお金を払っているわけなので当然の考え方なのですが、自社に当てはめると、「どんな価値を提供しているのか?」と考えること自体、非常に捉えにくかったり、難しかったりします。
そこで、顧客提供価値を分かりやすくする例として、アメリカの経営学者セオドア・レビットが「マーケティング発想法」で紹介した
「お客さまはドリルではなく、穴が欲しい」
というものがあります。
すなわち
ドリル:商品
穴:顧客提供価値(顧客価値)、便益(ベネフィット)
なのであり、お客さまは穴を得られたら、実現手段は、ドリルでなくてもよいというものです。
そこで、ドリルメーカーの顧客提供価値は、期待した寸法通りの「穴」を提供しているということが考えることができます。
顧客提供価値(顧客価値)を自社で考える時の難しさ
しかし、この例え話は理解できつつも、多くの中小企業では、「当社は、現状〇〇という商品を提供しているだけだし・・・」と顧客提供価値というところまで考えにくいケースが多々見られます。
顧客提供価値(顧客価値)の検討は、抽象的なテーマです。
そのため、自社にとってこれだ!と思う顧客提供価値が思いつかない場合
「そもそも顧客提供価値を考えることにどんな意味があるの?」
と疑問に思う経営者、社員の方もいらっしゃいます。
実は私自身もそう思うときがありました。
そして、顧客提供価値を考えれば考えるほど、無理矢理に考えた、また抽象度が高い故、自社以外でも使えそうな顧客提供価値になってしまうことすらあります。
そこで、顧客提供価値の検討において、気をつけないといけない面が2つあります。
それは、
(1)競合の視点が抜けていないか?(競合も同じ顧客提供価値ではないか?)
(2)顧客が望まない、メリットの薄い押しつけの価値になっていないか?
ということを意識して、顧客提供価値を考えるのです。
この2点の検討が抜けた、顧客提供価値は、無理矢理感・押しつけ感が強いものになってしまいます。
顧客提供価値ではなく、お客様から選ばれる理由を考える
もちろん、このような留意点を回避して顧客提供価値を検討するのも一案です。
しかし、当社では、顧客提供価値とほぼ裏返しに近い「お客様から選ばれる理由」という言葉を使っています。
「お客様にどんな価値を提供しているのか」って言われてもピンとこない場合でも、お客様がなぜ当社を選ぶのかという側面で考えることで、他社でなくかつ押しつけでない当社ならでは顧客提供価値を考えられるのです。
例えば、
「お客様はなぜ当社を利用してくれるのだろうか?」
「他社にはない当社の良さは何なのだろうか?」
そしてさらには
「その選ばれる理由はどうやって当社は実現しているのか?」
という質問をすることで、当社が選ばれる理由が見えてきます。
この 「選ばれる理由」は顧客提供価値に比べて、
・具体的な表現でイメージがしやすい
・ライバルとの比較で当社の良さが考えやすい
ということが挙げられます。
多くの中小企業で、この「選ばれる理由」を考えてもらいますが、顧客提供価値と比べて「選ばれる理由」が思いつかないということはほとんどありません。
しかも顧客提供価値に比べて、具体的で納得感が高いものが生まれることがあります。
留意点を挙げたとおり、顧客提供価値を考える場合、自社の顧客提供価値を考えているときには、ライバルのことを忘れていることもあり、結果、ライバルも同じような顧客提供価値をしていることがあります。
一方で、お客さまも実際、顧客提供価値をイメージして、商品・サービスを購入しておらず「あの会社は〇〇だから・・・」という選ばれる理由を持って買う場面の方が多いと思います。
コンサルティングにおいても、コンサルタントは顧客提供価値という考えを理解しつつも中小企業の経営者、社員により馴染みやすい「選ばれる理由」の方が考えやすいと思っています。
例えば、将来の経営戦略を考える時でも、
「お客様からどんな理由で選ばれたい」
「お客様からどんな褒め言葉をもらいたい」
「お客様が別のお客様にどんな口コミをしてほしい」
などお客様起点で考えていくと、自社の立ち位置が見えてくるのです。
顧客提供価値が考えにくい場合、顧客提供価値という売り手側ではなく、買い手側の視点で選ばれる理由を考えてみるのも重要なことなのです。
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