中小企業の環境分析・戦略策定において、
必ず登場する「SWOT分析」。
企業内部の強み・弱み
企業外部の機会・脅威
の4つ分けて、企業の環境分析をおこない、
戦略策定に活用するツールです。
中期経営計画・経営改善計画などにも
SWOT分析で会社の分析をおこなっている
資料を見ることがあります。
しかし、SWOT分析の考え方を理解できていても、
実際に使いこなすのは意外に難しいものです。
SWOT分析を使いこなすのが難しいことを
教えてくれる1冊があります。
それは山田英夫氏が書いた
「ビジネス・フレームワークの落とし穴」
です。
本書は、SWOT分析に限らず、PEST分析・
ポジショニングなどのフレームワークを使うときの
まさに「落とし穴」について書かれています。
そこでは、SWOT分析の落とし穴を
次のように記してます
「やりたい人の主観を、客観的に見せるための
フレームワーク」
これを聞いて、「?」と思った方も
多いんじゃないでしょうか。
SWOT分析は、分析というくらいだから
客観的な答が出るんじゃないの?
という見方を持っていらっしゃる方が
多いかも知れません。
しかし、私自身、SWOT分析は、
いくら客観的に分析しようと思っても
「やりたい人の主観を、客観的に見せるための
フレームワーク」になってしまうものだ
と思っています。
それは、既に頭にある答え
(その人が考えている戦略)を元に、
社内のこと、社内のことを
「強み・弱み・機会・脅威」に
振り分けていることが散見されるからです。
SWOT分析ならぬSWOT整理
とも言えるかも知れません。
例えば、
「様々な種類の機械がある」
という事実があります。
SWOT分析する前にある人が考えている経営戦略に
この様々な種類の機械を有効活用することを考えているなら、
強みに、「自社に多種多様な機械がある」と
記載されることになります。
一方で、機械が活用されてない現実を指摘し
設備売却をおこなう方向性であるなら、
弱みに、「自社に顧客ニーズに合わない機械が多くある」と
記載されることになります。
実際、私自身、過去にクライアントや他のコンサルタントと
SWOT分析をおこなうときに、こういう経験に何度となく
陥ってしまいました。
SWOT分析で「事実」を記載したと思っていても
個人の「意見」(その人が考えている戦略や論理の前提)が
つい乗ってしまうのです。
本書でも、
「強みは弱み、機会は脅威と裏腹」
と指摘しています。
そういう落とし穴があるということを
踏まえるとSWOT分析は
「やりたい人の主観を、客観的に見せるための
フレームワーク」になってしまう
という危険性があります。
そこで、当社ではSWOT分析をほとんど使いません。
SWOT分析を使ったとしても、さらっと程度で、
むしろ3C分析や以下のコラムにあるように、
「強み」と思われることを3つに分けて整理して、
今後の戦略を考えることにしています。
SWOT分析を中小企業の環境分析・戦略策定の
定番ツールと思わず、1つの道具として
SWOT分析の落とし穴を理解しながら、
活用することをオススメします。