人材育成は、企業経営において重要なテーマの一つです。当社でもコンサルティングや研修を通じて、経営者・管理職の方々から人材育成のご相談・お悩みをお伺いします。今回はOJT研修を行うときのポイント・コツについてお伝えします。
OJTとは、「On The Job Training」の頭文字をとったもので、「職場内訓練」「企業内教育」と言われる人材育成方法の1つです。直属の上司・先輩から、現場で仕事をしながら、若手・新入社員に研修を行っていく方式で、OJT研修とも言われます。
研修のやり方はその他にも、OFF-JTと呼ばれる、通常の業務や職場を離れて、集合研修の場で座学やグループワーク・ディスカッションをしながら、知識の向上・定着等を図る研修方式や、若手・新入社員自らが一人で学ぶ自己学習・自己啓発などもあります。
OJT研修自体、以前から存在しており、私自身20年前にOJT研修を通じて仕事を学びました。昔と今で異なるのは、働き方改革などで上司だけでなく部下の労働時間も以前よりも減っているということです。
以前は量(時間)をこなして、質(品質)を追求できた時代から、現在では量を減らしながら、質を追求する時代になっていきます。その為、以前よりも、教える側は、効率的に、教わる側もより早く知識・スキルを習得する必要があります。
しかしながら現実は、上司が教える時間・部下が働く時間も減っている中で、部下が育たないから結局、管理職が仕事を抱えるという実情をお伺いすることもあります。そこで、OJT研修も含め、社員・スタッフの人材育成のあり方を見直す時期に直面していると言えます。
では、OJT研修のゴールは、どこにあるのでしょうか?それは、教えられた業務を、教えられたとおりに行う再現性にあります。
業務には、原則と例外の2つがあります。原則となる業務の手順を理解しながら、例外事項に対応できるように成長していくことが、結果として、上司・先輩の仕事を部下・後輩に渡しつつ、上司・先輩が本来行うべき業務に集中できるようになることを目指します。
また、一方でOJT研修を通じて、部下・後輩が仕事により関心を持ち、自発的に・積極的に知識・スキルを吸収しよう、仕事に取り組もうと動機づけることも重要です。
上司・先輩の視点、部下・後輩の視点双方にOJT研修のゴールはあるのです。
「今度の新人は、飲み込みが悪いな」
「いつも同じ間違いばかりする」
といった、上司・先輩の部下・後輩に対する悩み事をお伺いすることがあります。
OJTリーダーが持つべき心構えの1つとして、他責ではなく自責の気持ちを持つということです。他責とは自分以外の他人に対して責任を押しつけること。上記のケースは、部下・後輩にOJT研修がうまくいかない責任を押しつけています。
一方で、自責は自分に責任を感じるということ。OJT研修において、常に優秀な新人が入ってくるとは限りません。与えられた人材・環境でどれだけ成果を上げるかも、OJTリーダーが評価されるポイントです。
だからこそ、他責の感情だけでは、OJTリーダー自身の成長にもつながりません。OJT研修を行う際には、自責の念を常に持ちながらおこない、「自分の教え方・伝え方がまずかったのかな?」「どうしたら今回の新人には伝わるかな」と試行錯誤することが重要です。
研修講師をおこなっている私自身、研修の度に伝え方を受講生に合わせて変えて、振り返りをおこない反省すべき時には反省し次回に向けて改善をおこなっています。
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ
(山本五十六 連合艦隊司令長官)
この言葉は、OJT研修・人材育成における名言です。自ら率先垂範して、手本・見本をみせて、説明して、実際若手・新人に体験させて、プロセスや成果をほめるという流れです。
ここには、記載されていませんが、OJTリーダーは準備することが重要です。やってみせるときに、無駄な流れを入れていないか、説明する時に、業務の目的、全体像、原則などを話すなど、自分自身がその業務に慣れているからと言って、場当たり的にやっていると、若手・新人にも伝わらないことがあります。
準備するときに大事にしてもらいたいことがあります。
それは、目的とゴールです。
目的は「何のためにその業務をするのか?」、5W1HでいうWhy。ゴールは「その業務を何をどこまですれば合格点なのか」、5W1HでいうWhat。
このWhyとWhatと伝えないと、Howという「やり方・方法」だけになってしまうと、仕事を理解したとは言い難い状態になります。
OJT研修でよく見受けられがちなのは、その業務のやり方だけ教えて、その業務の目的やゴールを伝えておらず、結果的に上司・先輩が期待する業務を新人ができていなかったというものです。
OJT研修の準備段階において、その業務のWhy・What・Howを自分なりに整理しておくことをオススメします。
また、「ほめてやらねば」という言葉にあるように、OJTリーダー自身は当たり前でも、若手・新人にとっては初めての経験です。教わったとおり仕事ができたかどうかの成果だけでなく、成果に至るプロセス(過程)についても、ほめてあげることで成長スピードは高まります。
以上、OJT研修をおこなうOJTリーダーが知って欲しいことを2つお伝えしました。
実際にOJT研修を行う前に、身に付けて欲しいスキルが1つあります。それは「分ける」というスキルです。ひょっとしたら、OJT研修で「分ける」ということを学んでいらっしゃらないかも知れません。私自身は、30代の時に「分かる(理解する)ことは分ける(分解・分類する)ことだよ」と教わりました。
その時には、ピンときていませんがでしたが、大企業・中小企業・行政関係者など業界問わず1000人以上のビジネスパーソンと面談した結果として、仕事がデキる人のコツが「分ける」ということに気づきました。
例えば、
などの若手・新入社員が仕事でつまずく背景には、「分ける」スキルが身に付いていないことがあります。
一方で仕事ができるビジネスパーソンは
など、意識的にもしくは無意識的にさまざまなことを分けて(分解・分解・分類して)、考えています。
OJT研修をおこなうOJTリーダーが「分ける」スキルを持っていれば、新人に対して、作業の手順など全体像を意識しながら分けて説明することで、より伝わりやすい説明になります。
OJT研修を行う前に、OJTリーダー自身に「分ける」スキルが定着しているかどうかセルフチェックをすることが重要です。
以上、OJT研修を行うときのポイント・コツをお伝えしました。OJT研修は、業種・業態や企業規模に関係なく、どこでも行われる内容です。
ヒトサクラボでも様々な業種でOJT研修の進め方を集合研修や個別指導で管理職やOJTリーダーにお伝えしてきました。
OJT研修を効率的に効果的におこなうためには、OJTリーダーだけでなく、仕事を教わる部下も「分ける」スキルがあることが重要です。
ヒトサクラボのOJT研修は、OJTリーダーだけなく、部下の方も対象に階層別に研修をおこなっています。お互いが「分ける」を意識しながら、一つの共通の言葉として仕事を教え・教わり、円滑なOJT研修の実施をおこないます。
詳しいご内容は以下よりご確認ください。
大企業・中小企業・行政関係者など業界・職種問わず1000人以上のビジネスパーソンと面談して、見えてきた仕事がデキる人のコツ。「分ける」たったこれだけで、周りの評価が一変します。
フォレスト出版より出版しています(2022年1月13日)。
https://www.amazon.co.jp/dp/4866801476/
・いつも仕事が時間通りに終わらないので残業や休日出勤が多い
・うっかりミスや見落とし、やり直し、上司からのダメ出しが多い
・仕事の段取りを組んだり、計画を立てるのが苦手
・上司や取引先から「何を言いたいのかわからない」とよく言われる
・トラブルが起きると頭の中が真っ白になってどうしたらいいのかわからなくなる
など、 本書はこのような仕事の「できない」をなんとか解消したいと日頃からお悩みの若手ビジネスパーソンの皆さま、そしてそうした部下をお持ちの管理職の皆さまへの処方箋です。
仕事の成果は、頭の良し悪し、センス、才能ではなく、「分ける」かどうかで決まるのです。
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