・先が見えない不透明な時代、これから何をすれば、売上が上がるのだろうか?
・大手企業と真正面で戦っては勝てない。勝てる土俵(市場)はあるのか?
・これまで何とか経営してこれたが、この先このままの経営でいいのか?
といったことを考えたことはございませんか?
実はこれは当社に相談いただく、経営者の声です。
世の中が大きく変わりつつある中で、自社の次の一手で悩み・迷う経営者も多いのが事実です。
その時に、自社にある強みなど、自社がもっているもの(形あるもの・形ないもの)を改めて、見つめ直して、自社の強みを軸にした経営を意識をすることも有効です。
本コラムでは、中小企業が強みを活かす経営について、そのポイントなどをお伝えしたいと思います。
「強みを経営に活かす」
ということはどこかで聞いたことがあるかも知れません。自社が持っている強みをフル活用して、自社にとって最善の経営をしていくことです。では、そもそも強みとはどのようなものでしょうか?
強みとは、他社よりも強いところ?
強みとは、いい特徴のこと?
強みとは、独自性や優位性があるもの?
このような視点で、強みを見つけ出すということもあろうかと思います。例えば、自社の商品、営業力、人材、業務の仕方、社内体制、財務などいろんな項目から強みを洗い出していくこともあります。
ただし、当社では、これだけでは真の強みには、たどり着けない経験もしました。
そこで、強みを以下の視点で、分けて整理しています。
(1) 他社でなく自社がお客様に「選ばれる理由」に関するもの
(2)売上・利益などに影響する「得意なこと」
(3)その他の「いいところ」「プラスのこと」
これら、3つについてそれぞれ説明します。
(1)他社でなく自社がお客様に「選ばれる理由」に関するもの
中小企業が継続・成長にするにあたって、一番重要な要素です。当然ながら売上を確保するには、お客様から選ばれ続けなければなりません。
なぜ、他社ではなく、自社をお客様が選んでいるのか、その理由を考えていくのです。その例として挙げられるのが、「商品力」「接客力」です。
その他、「店舗の雰囲気」なども選ばれる理由に関係します。決して、販売する商品・サービスだけでお客様が選んでいるとは限りません。
視点を変えて、「固定客が多い」ということを「強み」に挙げることもあります。それは多くのお客様にとって「選ばれる理由」があるからです。それをもう一歩、踏み込んで考えると「選ばれる理由」に関するものが出て来るはずです。
(2)売上・利益などに影響する「得意なこと」
この項目に該当するものには、例えば、営業力などが挙げられます。選ばれる理由があったとしても、それをPRしていかなければ、売上につながりません。このような力を持っているかどうかで売上・利益に差が出てきます。その他は、数値管理などの管理力やロスが出ない仕組みがあるなどです。
なお、他社よりも安く仕入れることができる力(仕入力)は、それが結果的にお客様への売価などに反映して、「選ばれる理由」になっていれば、(1)にも関係します。その場合は(1)にも入れておくことをオススメしています。
(3)その他の「いいところ」「プラスのこと」
これは(1)、(2)以外のことです。例えば、「後継者がいる」ことを強みに挙げた場合を考えたとしましょう。後継者が、(1)の選ばれる理由、(2)の売上・利益に影響する「得意なこと」に貢献していれば、そのどちらかに入る場合があります。例えば、(1)商品開発力がある後継者、または (2)業務改善が得意な後継者というケースです。
しかし、まだ(1)(2)の状態でない後継者であれば、(3)になってしまう場合もあります。その他、「借入が少ない」「社員の平均年齢が低い」なども(3)に入るかも知れません。
ここには、自社がまだ気づいていないようなもの、活用し切れていないものが存在します。この中から、(1)や(2)へ変化するようなダイヤの原石が眠っているかも知れません。
このように強みを洗い出し、強みを活かす経営にはどのようなメリットや効果があるのでしょうか?よく経営者にお伝えしているのは、以下の5点です。
(1).強みを改めて見つけ出す中で、経営者・社員が、①強みについての新たな「気づき」、②気づいてない強みを得るきっかけになる
(2).自社の強みが活かせ、勝てる土俵(戦場)を見つけることができる(自社の立ち位置を再確認・今の強みに加えて新たな強みを創る必要もある)【経営戦略】
(3)強みをPRすることで、顧客からの信頼感・安心感が高まり売上がアップする【営業強化】
(4)強みを共有することで、社員の意識や仕事に対する共通認識(行動指針化)・一体感(軸づくり)・が強まる【組織力強化】
(5)経営方針や事業戦略に共感する人材の確保、更には金融機関等からの自社に対する理解が深まる【魅力発信】
強みを見つけたいと経営者の考えはさまざまです。
はじめは、(2)に関する将来の事業の方向性の検討を目的に、強みの洗い出しをやっていた結果、(2)だけでなく、(4)の組織力強化にもなったということはあります。
では、このような強みを見つけ方には、どのような方法があるのでしょうか?当社では、4つの手法を用いて、強みを見つけていきます。
(1)自社がお客様に「選ばれる理由」から強みを見つけ出す
お客さまが、他社ではなくて、自社をなぜ選んでいるのか?、ということを結果としてその会社の優位性になります。選ばれる理由を実現できている背景を確認することで、その会社の強みが導き出されます。
(2)仕事の流れから強みを見つけ出す
仕事の流れにおける、ひとつひとつの仕事の積み重ねが、お客さまにとって価値を生み出します。そのひとつひとつの仕事で何をしているのかを分析していくことでその会社「ならでは」という強みや取り組みなどが見えてきます。
(3) 沿革から強みを見つけ出す
「ローマは一日にして成らず」という格言があるように企業の強みは一朝一夕では出来上がりません。会社がどのようにして成長したか、また難局を乗り越えたかという経緯を紐解くことで、その会社の強みが生まれてきます。
(4)いろんな視点から強みを見つけ出す
基本的に上記の(1)~(3)を通じて、いろいろな強みが導き出されますが、再確認の意味をこめて、他の強みがないかを検討していきます。
そこで導き出した強みですが、その強みをどのように活用する
方法があるのでしょうか?
中小企業にとって、強みを活かした経営の方向性を5つご紹介します。
1. 強みをPRする
2. 強みを鍛える
3. 強みを引き継ぐ
4. 強みで考え直す
5. 強みを創る
1. 強みをPRする
自社に強みがあったとしても、それがお客様に伝わっていなければ、お客さまから見れば、その企業に強みが無いのと同じことになってしまいます。そのため、強みをPRすることも念頭において経営をすることが重要です。
会社のホームページやパンフレットには、強み(選ばれる理由)が前面に出たデザインになっているでしょうか?
このように選ばれる理由をしっかり伝えて、PR・営業・リピーター作りをおこなう取り組みが重要です。
3. 強みを鍛える
今の強みがあるからこそ、お客さまに選ばれているのも事実ですが、それに加えて、
「どのようにしたら、よりお客様に喜んでもらえるか?」
「どのようにしたら、もっとお客様に選んでもらえるか?」
を常に頭に置きながら、といったことを日々考えながら、強みを鍛えていくことが大切です。
4.強みを引き継ぐ
会社の仕事において「その人しかその仕事ができない」状態に陥ることを「属人化」と呼びます。
属人化が起こると、もしその人が退職・休職してしまった場合、業務が滞ってしまいます。
特に経営者やベテラン社員がその強み(お客さまに選ばれる理由)を持っていることなどよくあります。そのため、強みを引き継ぐことが大切です。
なお、これは強みだけでなく、事業の承継においても重要なことです。
5. 強みで考え直す
時代は刻々と変化します。時代や社会の変化を見極め、強みで考え直すのも、強みを活かした経営とも言えます。
例えば、今の技術で別の商品を作れないか?今の技術で別のお客さまに貢献できないかなど、持っている強みを別のところに転用する考え方です。
6. 強みを創る
強みを見つけたとして
「自社ならではの強みが見当たらない…」
「強みが他社と同じようなもので事業が停滞気味だ…」
という場合、「強みを創る」ことを検討してください。
停滞している現状を打破するには、新たに強みを創り出すことが有効です。
「お客さまが他社ではなく自社を選ぶには、どんな強みを創る必要があるだろうか?」
と問いかけることも大切です。
実際の経営コンサルティングにおいても、この視点で現状をお伺いし、戦略を立てていくことが多いのです。
中小企業の経営を活かすということで、
・強みとは
・強みを活かすメリット・効果
・強みの見つけ方
・強みを活かす経営
ということでお伝えして参りました。
自社の強みを見つめ直す時期は、様々なタイミングがあります。成長している時、新規ビジネスを検討する時、事業を承継する時、経営を再建する時など多くあります。
その時々で、強みを見つめ直すことで、自社の方向性の確認や新たな方向性が見つかることもあるかも知れません。
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