「少しはもっと考えて仕事してくれよ~」
「ちょっとは考えて仕事した?」
「結局、何がいいたいの?、どうしたいの?」
など、上司から小言を頂くことってありますよね?
私も20代にこういうことを言われながら、仕事をしていました。
今は、人材育成のコンサルティングや研修講師としてお話をしていると、
上司の方からは
「うちの部下は考えて仕事をしないんです」
「自分から動かない人にどう指導していいのか悩んでいます」
「仕事で何も考えない人が増えてきています」
若手の方からは
「自分で考えて仕事しろって言われても、何をどうやって考えたらいいのか?」
「『何も考えてないね』って言われないようにちゃんと仕事したい」
「仕事ができない人と周りから思われたくない」
など双方から「悩み」をお伺いします。
今回のコラムでは、仕事で自分で考えない人(社員・部下・後輩)が、どのように仕事を考えてできるようになるか、指導・育成のヒントをお伝えします。
冒頭、「もっと考えて仕事してくれよ~」などという上司の小言を紹介しましたが、実際どういう場面で聞くことがありますか?
一例を挙げると、
・毎回、ワンパターンで状況に応じた対応ができてきない(例外対応・機転が利かない)
・目先のことばかりで、次のステップや最終ゴールが見えてない
・提案するときに、1つの案しか考えておらず、別の案などが検討していない
・行動するときに、リスクや障害について考えておらず、とっさの判断ができない
・これからおこなう仕事の手順が思い浮かばずに止まってしまっている
・資料がコピペばかりで、白紙の状態から作成できない
・フレームワークを勉強するものの、鵜呑みにしてしまう
といった場面が思い浮かぶと思います。
それでは、この「もっと考えて仕事してくれよ~」という小言を減らすために、どんなことが必要なんでしょうか? 知識・経験はもちろん必要です。
しかし、これから色んな仕事をしていく中で、毎回「もっと考えて仕事してくれよ~」と言われながら、仕事をするのもイヤでしょうし、そして「仕事ができないという状態から抜け出したい」と思っていらっしゃると思うのです。
その一方で、上司や先輩の立場なら、言いたくないことをこれ以上言いたくないでしょう。
実は、自分でちゃんと考えて仕事をしている人は、1つのスキルを持っている のです。
それは「分ける」スキル です。
「仕事で『分ける』という言葉を聞いたり、意識したりすることがありますか?」とセミナーやコンサルティングで質問すると、大抵の方が、きょとんとして、頭をかしげてしまいます。
仕事で「分ける」をあえて想像して頂くと、「書類や帳票を分けて整理する」や「パソコンのフォルダ分け」というと、少しイメージが沸く人がいらっしゃる程度です。
私の実感でも正直なところ、仕事で「分ける」ということは一般的に使われていないと思います。仕事がデキる人の特徴として「分ける」という行為を意識的に・無意識的におこなっていることに気づきました。
仕事で自分で考えない人の多くは、この「分ける」ということを意識していていない方がほとんどです。では何を「分ける」のかというと、次のようなものです。
いかがでしょうか?
「分ける」というのは、ビジネスの場面でいろいろなところで活用できるものです。いろいろな事を学んだり、経験しても、この「分ける」というベーススキルがなければ、もったいない状況になります。この「分ける」というのはOS部分で、知識や経験などはアプリのようなものなのです。
「仕事ができない」という場面をいくつか挙げるとすれば、「同じミスを何度も繰り返す人」「業務を終えるまでの時間が長すぎる」「スケジュール管理ができない」ということがあります。
これらの場合でも実は細かな手順に分けられておらず、大雑把に仕事進めようとすることがあります。そこで細かく「分ける」ということを意識すれば上記の様なことは少なくなります。
もちろんOSは「分ける」だけではありません。「分けた」ものをつなげたり、まとめたり、発想したりなどの他のスキルもあります。それらのスキルは「分ける」ことなくしては、はじまらないのです。
この「分ける」って本当に大事なの?という方もいらっしゃるかも知れません。ここで「分ける」に関係した名言をお伝えしましょう。
「困難は分割せよ」~フランスの哲学者・デカルト~
「問題は切り分けろ」~マイクロソフト・ビルゲイツ~
「象を食べるなら一口ずつ」~アフリカのことわざ~
表現は別にして、大きなもの(全体)から「分ける」ということを伝えています。この大きなものが、先程あげたものが一例です。
いかがでしょう?
スケジュールは「分ける」意識しているけど、発言は「分ける」ことすら考えていなかったとか、人によって様々だと思います。「もっと考えて仕事してくれよ」が小言にように繰り返されるのは、様々なビジネスの場面で「分ける」が意識できていなかったことが要因である可能性があるということにお気づきになられましたでしょうか?
では、仕事で考えない人、もしくは「仕事ができない状態」から抜け出したい人が何をすべきなのでしょうか?今回は、その意識付けの方法をいくつかご紹介したいと思います。
簡単なように思えますが、これを細かく分けて書いていらっしゃいますか?
会社・業界によってはタスク分割(仕事を分ける)という言葉が一般的になっています。
おそらくは大見出しのように、「企画書作成」「見積書作成」など「塊」の状態で進んでいないということもあるのではないでしょうか?オススメなのが、その塊を自分が動けるくらいに砕くことをオススメします。
例えば企画書作成なら、
などの項目が挙がるとします。
あくまで自分が動けるレベルですので、もっと細かくする場合もあります。仕事で考えない人は、自分のおこなうべき仕事を分けることが苦手ないので、上司・先輩から指示をもらわないと動けない方も多いのです。
だからこそ、毎日の仕事で、塊を砕くということを意識付けすることが大事なのです。
上司へ報告するときに、事実と意見に分けて伝えていますか?この事実と意見を混在して話すことも多いのです。そこで、「事実として・・・、私の意見として・・・」など、自分自身のため、そして聞き手のために、前置き言葉を置いて話すと伝わりやすくなります。
事実の意見の他、「結論として・・・、その理由として・・・」「報告したいことが3つあります。まず1つ目は・・・」などいろんな面で応用ができます。
これらも分けることを意識的に無意識的に実践していることなのです。
TODOリストや報連相(ホウレンソウ)の時などで「分ける」ときによく使う考え方です。対(つい)とは2つで1つです。例えば、事実と意見も対とも言えますし、社内・社外など、メリット・デメリットなども対(つい)の考え方です。片方だけでなく、もう一方で考えて見るのも分けて考える意識付けになります。
3つは対よりも細かく分けるという意味で、過去・現在・未来や、社内(自社)・社外(お客様・ライバル)など3つに分けた考え方です。プレゼンテーションでも「3つのポイントがございます」というのも、「分ける」意識が芽生えた皆さんなら、「大事なことを3つに分けて説明しますよ」ということだと理解できますよね。
1~3でお伝えした内容を、頭の中で考えてもいいですし、付箋に1つ1つ分けて書き出して、つながりを考えたり、まとめてみたりすることも自分の頭の「見える化」になります。実際このコラムを書くときにも、私自身付箋に項目を書き出して、並べ替えて書いています。その時には、細かく分けられた箇所もあれば、塊のままで実際に何を書こうかぼんやりしていることも書き出してつなげてまとめてみれば明白です。
よくパソコンだけで作業している人を見かけますが、「もうちょっと考えて!」といわれる方には、パソコンに向きあう前に付箋で自分の頭の整理整頓することをオススメします。
仕事で考えない人、もしくは「仕事ができない状態」から抜け出したい人は「分ける」を意識するときに、会社内で、もしくは先輩・上司がどう分けているかを学ぶことも重要です。
その時には「分け方」だけでなく、その背景なども伝えると「こういう基準で分けているのか?」という「分ける」意識の醸成につながります。
分ける行為は背景や目的があるから、分けているのであって、その背景や目的を理解することが今後自分で分ける時に重要な要素になることもあります。
以上で、仕事で考えない人、もしくは「仕事ができない状態」から抜け出したい人が「分ける」を意識するポイントをお伝えしました。
ここで、分ける時に大事なことを2つお伝えしたいと思います。
分けるというと、分解・分類に意識が向きやすいですが、全体を広く捉えながら、分ける、すわなちズームアウトということを忘れないようにしましょう。例えば、今日のTODOだけでなく、今週、来週、今月のTODOなど常にズームアウトしてみる瞬間も重要です。
どのような仕事にも目的やゴールはあるはずです。
目的は、その仕事が求められる背景・狙いです。
ゴールは、「何を」「どこまで」いう、仕事の到達点・合格レベル
です。
この目的・ゴールを意識しながら分けることが大切です。
目的については、「何のために」「誰のために」こと意識しながら、「分ける」ことをおこないます。そこで、分けることで、意味があるのか、何か見えてくるのか、つぎはどうするのかをそもそもの目的・狙いを忘れてはいけません。
またゴールについては、もっとシンプルに言えば
・お客さま、上司、周りの人が自分に求めていること
・お客さま、上司、周りに自分が伝えたいこと
であり、そのゴールに向かって、分ける作業ができているが重要です。
仕事で考えない人、もしくは「仕事ができない状態」から抜け出したい人が「分ける」意識を持つということをお伝えしました。分けたあと、つながる・まとめるといった統合や新たなことを考える発想にステップアップしていきます。
逆を言えば、分けることができないと、よい統合・よい発想にはならないのです。
実はこの「分ける」、私自身も20代に聞いておけば、よかったと正直思っていますし、AI時代、人口減少社会、働き方改革でより思考すること、1人1人のパフォーマンスを上げること求められる世の中で、重要だと思っています。様々な研修や人材育成において、できるかぎりこの「分ける」大切さについてお伝えしています。
是非、皆さま方の部下・後輩にも「仕事で考えない」場面が出たときに「分ける」ということを意識してもらうようにガイドしてみてください。「分ける」ということを意識・実践するだけで、仕事のパフォーマンスが上がるはずです。
大企業・中小企業・行政関係者など業界・職種問わず1000人以上のビジネスパーソンと面談して、見えてきた仕事がデキる人のコツ。「分ける」たったこれだけで、周りの評価が一変します。
フォレスト出版より出版しています(2022年1月13日)。
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・いつも仕事が時間通りに終わらないので残業や休日出勤が多い
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仕事の成果は、頭の良し悪し、センス、才能ではなく、「分ける」かどうかで決まるのです。
働き方改革などで上司・部下の労働時間も以前よりも減っている現実。以前は量(時間)をこなして、質(品質)を追求できた時代から、量を減らしながら、質を追求する時代になっていきます。しかし、上司が教える時間・部下が働く時間も減っている中で、部下が育たないから結局、管理職が仕事を抱えるという実情をお伺いすることもあります。
当社では、この分ける(分割・分解する)に着目した研修(講師派遣型)をおこなっています。上司の教え方にバラツキがある、若手社員がなかなか育たないという企業に向けた、上司と部下が共に学ぶ社員研修です。働き方改革・生産性向上の取り組みにも通じる研修です。
ご関心がある方は、以下より詳細をご確認ください。
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