U-mic News 2010年

代表者である吉田 英憲と、そのほかさまざまな得意分野をもつ中小企業診断士・経営コンサルタント(広島県在住)が、専門知識と経験から得た「役に立つ」情報をまとめたフリー情報紙(企業支援者向け)です。


2010年12月号

<12月号の記事>

  女性向けの商品を販売している企業を支援しているときに聞いた話です。その会社は20年前から40~50代の女性をターゲットとした商品を開発・販売していたもの、その世代が既に60~70代になり購買意欲が薄れているとのことでした。しかも、その世代に合わせて商品を変化させたため、今はもう40~50代には合わない商品になっていました。その上、従業員も同じように年をとり、今更40~50才向けの商品開発へ転換しても、その世代にマッチする商品開発はできないかもしれないと危機感を持たれていらっしゃいました。

 

 似たような例として、数年前から団塊世代をターゲットにしたビジネスが続々と生まれていますが、10年経つとその購買力は現在ほどではなくなっているのが予想できます。

 これは中高年をターゲットとしたビジネスにした場合だけではなく、カフェや飲食店など若者をターゲットしたビジネスでも同様です。

 

 多くの経営者が目先の1、2年にとらわれてしまい、経営者のみならず、従業員、顧客が年をとるということを、つい見落としがちです。そのため、折に触れて長期的な経営のあり方を考えてもらうことが企業存続という意味でも重要であると思っております。

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2010年11月号

<11月号の記事(1)>

  私は出張の際ほとんど公共交通機関を利用するのですが、先日レンタカーを借り支援先を訪問することがありました。車種にこだわりはなく、動けばいいということで、とあるレンタカーのフランチャイズ店で日産マーチを12時間で2525円という格安価格で予約しました。その格安価格の裏側が実際に借りに行くと分かりました。

 

 それは①借りた車は中古車(店員さんから話)で安価にて調達。②免責補償、カーナビなどはオプションで最低限。③ガソリンスタンドと併設でレンタカー事業をおこなっており、返却の際にはそこで給油すればガソリンの利益も計上可能。④自店のガソリンスタンドの従業員で整備できるため整備コストが安価。といったところが垣間見られました。

 

 この企業は、これまでのレンタカーのビジネスモデルをお客様にとっての価値から見直し、サービス提供していると見受けられました。今回の「おすすめの一冊」でご紹介した「ブルーオーシャン」戦略のツールを活用してサービス提供したかどうか定かではありませんが、結果から見ればブルーオーシャン戦略の事例の1つと言えるかも知れません。

 

<11月号の記事(2)>オススメ本のご紹介

 書名:ブルー・オーシャン戦略~競争のない世界を創造する

著者:W.チャン・キム/レネ・モボルニュ、出版社:ランダムハウス講談社

  

 この本は2005年に出版され、当時書店では長い間、平積みされたベストセラーであり、今もその価値は色あせていません。タイトルにある「ブルーオーシャン」とは、競争のない世界であり、価格競争など血みどろの争いが繰り広げられる「レッドオーシャン」と対比した表現です。この競争のない「ブルーオーシャン」を生み出すには、本書に記載されているいくつかのツールを活用し、価値を高めつつ、コストを抑えることを両立させる必要があると説いています。この事例の1つとして、日本のヘアカット専門店「QBハウス」が取り上げられています。これまでの理容店の慣行をお客様にとっての価値から問い直し、10分1,000円のカットサービスを提供しています。

 本書は翻訳本で難解な部分もあり読了には時間がかかります。時間がない方は、分かりやすい関連本もいくつか出版されており、そちらからスタートしてもいいかもしれません。

 

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2010年10月号

<10月号の記事>

 地域資源活用・農商工連携、経営革新など企業の新規事業を支援している中で、最近感じていることがあります。それは「新規事業において自社に足りている部分(能力)と足りていない部分を経営者が認識することの大切さ」です。例でいうと、あるメーカーが技術的に優れた商品を開発しました。経営者自身、これは何もしなくても口コミで全国に売れると確信していました。しかし当社はこれまで地元でしか販売したことがなく、結果売れなかったという(よくある?)事例です。このケースでいうと、足りている部分は製品開発力で当社にとっての強みです。一方、足りていない部分は販売力であり弱みです。この弱みの認識と克服を検討していない、経営者の独りよがりの事業構想をよく目の当たりします。これは経営者だけ限らず我々も自分自身を客観視することがなかなか難しいのがその背景にあるのだと思います。

 

 新規事業であるがゆえ、足りていない部分は多かれ少なかれ存在するはずです。支援者(支援機関の方や我々)は足りていないをうまく気づかせ、それをどう埋めていくかを一緒に考えていくことが、経営者から求められることではないかと思います。

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2010年9月号

<9月号の記事(1)>

初夏に韓国へ行って参りました。韓国の有名企業といえば「ロッテ」。本場を見てみようということで、日本にもある「ロッテリア」にて食事をしました。すると、メニューの中に日焼け止めクリームがついたセットメニューが販売されていました。日本では見たことがない組み合わせ少々驚き、おもむろに写真を撮ってしまいました。

 

 その後、帰国中にふと思い返すと、あのセットメニューはいわゆる「ついで買い」の仕掛けと思いました。スーパーなどのレジ横にある乾電池のように、「あっ!ついでに買っておこうか!」と思わせるやり方です。日焼け止めクリームも夏が本格的に始まる前に、買ってもらおうという考えではないでしょうか?

 

 実際、日焼け止めクリーム付きセットが今年の夏どのくらい人気があったのかは分かりませんが、小売業のテクニックを飲食業で応用した面白い事例だと思いました。日本でも、そのうち韓国のような「ついで買い」セットメニューが販売されるかも知れませんね。

<9月号の記事(2)>

 先日、メンバーの渡貫氏とともに、食品製造・小売業に対して複合支援をおこないました。初回は当方にて事業別損益の分析をおこない、儲かる事業は何かを見定めました。これまで決算書についてじっくり向き合ったことのない経営者であり、図解しながら、どの事業を伸ばしていけば利益を生み出すことができ、資金繰りも安定するのかということをご理解頂きました。さらには粗利改善、経費削減の実効策を検討し、できることから即実行に移すことになりました。

 

 2回目は注力事業である自社製造食品に関して、渡貫氏が小売バイヤーにとって必要な情報源となる商品規格書の作成支援をおこないました。その商品のセールスポイントとなるこだわりや、他社との差別化要素などを「活字」に落とすことで、社内稟議でも活用できる資料に仕上げました。このように企業のニーズに合わせて、今後もユーミックグループで複数の支援者によるサポートをおこなっていきたいと思います。

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2010年8月号

<8月号の記事>

 事業承継の相談にて企業訪問を継続しています。事業承継と言うと税金対策が中心と受け止められやすいのが実情です。しかし、特に多くの従業員を雇用している場合、現社長は従業員の雇用まで気にかけ、将来後継者が誤った方向に進み、従業員を解雇せざるを得ない事態にならないのだろうかと不安をもたれるケースをこれまで多く見てきました。

 

 その時に社外の人間(支援機関の方も含む)が後継者のよき相談相手となって欲しいと現社長は望んでおられる場合があります。特に私の場合には、後継者と年齢が近く、後継者が気軽に相談できるということで支援先の社長・後継者からご評価頂いております。月次の経営会議に同席し(時には会議の進行役にもなり)、その後、後継者から個別にいろいろと悩みをお伺いするようなことを行っています。事業承継計画というプランはもちろん大事ですが、それを継続的にフォローしていく外部の支援体制も重要だと思っております。

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2010年7月号

<7月号の記事(1)>

今年1月から広島のサービス業を継続訪問しています。当初、お客様の要望は漠然としており、「売上がもっと上げられるはずなのだが・・・うまくいっていない」というものでした。詳しく話をお伺いすると、運営がうまくできていない状態でした。そこで下記の業務改善を提案しました。

 

   ①業務フローを作成し、作業順や作業レイアウトを変更する

 ②作業マニュアルを作成し、1人がいろんなことができるような多能工化を進める

 ③在庫管理方式を見直す

 ④Excelのマクロを使用し、単純作業を減らして効率化を進める

 

  結果、同じ人件費で売上が1.5倍になり、現在、当初売上の3倍を目指し今後は多店舗化を検討しています。今回、製造業の視点で一部アドバイスしていきました。このような考え方は少しずつ普及しつつあり、病院にトヨタ生産方式の考え方を導入するなどの事例があり、一般に「サービス・イノベーション」「サービス産業生産性向上」など言われております、時には製造業の視点で、サービス業を見ることも大事なのではないかを思っております。

<7月号の記事(2)>オススメ本のご紹介

「愚直に積め! キャピタリストが語る経営の王道・99」 辻 俊彦 著

 

 

ベンチャーキャピタリストである著者は、ベンチャー企業はとにかく「やり切る」という重要性を説いています。「目標設定する目的は、目標達成にあるのではなく、現状とは異なる行動を喚起していくことにある」「リスクはその場で対処しないと蓄積するが、チャンスはその場で活かさないと保存できない」など行動するの大切さを伝える一方で、「悪いことは構造的な要因に基づく出来事、良い事は偶然の出来事」などベンチャー企業に限らず、老舗であっても示唆に富む内容も数多く盛り込まれています。

 

 私も事業計画の策定の際には、今日明日からでも実行でき、やり切れるようなアクションプランを盛り込むようにしています。また、企業によっては、その行動を定期的にチェックし、時には見直すようなサポートもしております。

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