U-mic News 2017年

代表者である吉田 英憲と、そのほかさまざまな得意分野をもつ経営コンサルタント・中小企業診断士(広島県在住)が、専門知識と経験から得た「役に立つ」情報をまとめたフリー情報紙(企業支援者向け)です。


2017年12月

 

まずは、書き出してみましょう!

 

「脳をやる気にさせる たった1つの習慣」 茂木健一郎 ビジネス社 

 

 本書は経営計画作成など、経営者が自ら考えるセミナーでご紹介させて頂く一冊です。セミナーの中で個人ワークを実施する際に、本書の次の一節をご紹介しています。

 

 脳はもともと怠け者。だから「書く」ことで、やる気のスイッチを入れる

 

 多くの経営者は、自社の経営について頭の中で考えることが多いかも知れません。それを書き出すことで気づきを得たり、書いたものを自ら見て、更なるアイデアを思いついたりすることはよくあります。今年講師を担当したセミナーでも、受講された経営者が真剣に自社について書き出していらっしゃった姿が印象的でした。このように書き出すことによって、自分自身のモチベーションを奮い立たせることも多いのです。

 

 一方で、紙に書こうとすると、かしこまってよい言葉が出ないという経営者もいらっしゃいます。セミナーでも、この本を紹介しながら「その言葉が良いかどうかは別にして書き出してみましょう!」とお伝えしています。とは言っても、ワークシートに書き出すことに抵抗がある方もいらっしゃいます。セミナーでは、気軽に書けるよう付箋などを活用して、「書く・剥がす」の繰り返しで自分の考えを整理してもらっています。

 

 話を本書に戻すと、他のテーマとして、人にとって「言葉」というものの大切さを脳科学者・茂木健一郎氏ならではの視点で語られています。

 

 来年に向けた目標設定、ご自身もしくは支援先の企業においても、まずは書き出すことをオススメします!

 

 

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2017年11月

「山登りタイプ?」それとも「波乗りタイプ」(書評)

 

人生を決める「成長スイッチ」をONにする 古川武士 PHP研究所 

 

 事業承継をテーマにセミナーをさせて頂く機会が増えてきました。創業以来、後継者育成や、後継者を支える経営幹部を育成するコンサルティングをおこなっているので、多くのことが複雑に絡み合った事業承継について当方が関わった事例をもとにお話しさせて頂いています。

 

 

 事業承継セミナーでは、会社のビジョンを考えたり、自らの目標設定をおこなうことが多いです。その中で、必ずお伝えするのが本書に書いてある、「山登りタイプ」と「波乗りタイプ」です。

 

 

 山登りタイプは、目標を明確に描き、それを実現させる詳細な計画を元に、行動や習慣を繰り返し、着実に行動し理想を追求するタイプ。一方で、「波乗りタイプ」はプロセスを細かく決めず、大きな方向性だけを定めて、人との出会いや機会・自分の直観を元に臨機応変に行動し理想を追求していくタイプ。

 

 どちらが正解という訳でなく、両方とも組み合わせた方がよいということをセミナーでお伝えしています。事業承継に限らず、経営計画セミナーや、目標設定セミナーでもこのテーマでお話しすると多くの方が、「波乗りタイプ」に手を挙げられます。ただし、経営者や経営幹部になられる方としては、山登りタイプにも意識を向ける必要があり、山登りタイプを経営に取り込む、ガントチャート式年間計画などをセミナーでお伝えしています。

 

 

 本書では、「山登りタイプ」「波乗りタイプ」以外に、習慣化のコツなどのノウハウが掲載されています。経営者ならずとも、働く人にとっても役立つ一冊だと思います。

 

 

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2017年10月

 

「強み」という言葉の意味をもう一度考えてみる

 

 先日、経営指導員の方を対象にした研修会で講師を担当しました。

「事業承継」というテーマの中で、「強み」についての私なりの考え方をお伝えしました。今回はその内容の一部をお伝えします。普段、何気なく使っている「強み」の捉え方が少し変わるかも知れません。

 

 自社を分析する時や経営戦略を考える時に登場する「強み」。

 

 融資の申込みや補助金の申請で、その会社の「いいこと」「プラスのこと」全てを「強み」として記述していらっしゃる方も多いとかと思います。中には、「商品」「営業力」など項目を分けて記述している場合もあります。その一方で、多くの強みを挙げても、担当支援先の業績は改善しない・・・そのギャップ(差)はどこにあるのでしょうか?

 

 私自身、同じような経験に直面し、また相談を受けるようになり、私なりに「強み」について今一度考え直す機会がありました。

 

 それは「強み」を、

 

 (1) 他社でなく自社がお客様に「選ばれる理由」に関するもの

 

 (2)売上・利益などに影響する「得意なこと」

 

 (3)その他の「いいところ」「プラスのこと」

 

と3つに現時点では分けて考えています。

 

 (1)他社でなく自社がお客様に「選ばれる理由」に関するもの

 企業が継続・成長にするにあたって、一番重要な要素です。当然ながら売上を確保するには、お客様から選ばれ続けなければなりません。なぜ、他社ではなく、自社をお客様が選んでいるのか、その理由を考えていくのです。その例として挙げられるのが、「商品力」「接客力」です。その他、「店舗の雰囲気」なども選ばれる理由に関係します。決して、販売する商品・サービスだけでお客様が選んでいるとは限りません。

 視点を変えて、「固定客が多い」ということを「強み」に挙げることもあります。それは多くのお客様にとって「選ばれる理由」があるからです。それをもう一歩、踏み込んで考えると「選ばれる理由」に関するものが出て来るはずです。

 

(2)売上・利益などに影響する「得意なこと」

 この項目に該当するものには、例えば、営業力などが挙げられます。選ばれる理由があったとしても、それをPRしていかなければ、売上につながりません。このような力を持っているかどうかで売上・利益に差が出てきます。その他は、数値管理などの管理力やロスが出ない仕組みがあるなどです。

 その他、他社よりも安く仕入れることができる力(仕入力)は、それが結果的にお客様への売価などに反映して、「選ばれる理由」になっていれば、(1)にも関係します。その場合は(1)に入れておくことをオススメしています。

 

(3)その他の「いいところ」「プラスのこと」

 これは(1)、(2)以外のことです。例えば、「後継者がいる」ことを強みに挙げた場合を考えたとしましょう。後継者が、(1)の選ばれる理由、(2)の売上・利益に影響する「得意なこと」に貢献していれば、そのどちらかに入る場合があります。例えば、(1)商品開発力がある後継者、または (2)業務改善が得意な後継者というケースです。しかし、まだ(1)(2)の状態でない後継者であれば、(3)になってしまう場合もあります。その他、「借入が少ない」「社員の平均年齢が低い」なども(3)に入るかも知れません。

 

 

 以上、何気なく使っている「強み」について、私なりの考え方をお伝えしました。申請書類が求めている考え方とは、違う面もあるも知れません。しかし、企業の支援をおこなう際には、上記の視点で分けて考えることにその意味があります。

それは、

 

・選ばれる理由に関係するものだけを考える瞬間

 

・会社の売上・利益などに影響する得意、不得意なことを考える瞬間

 

など分けて考えることで思考や議論が研ぎ澄まされていきます。自社分析・経営戦略策定でお手伝いするときに、強みで混乱した場合、是非、上記の視点で分けて考えてみてください。企業の見方が少し変わるかも知れません。

 

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2017年9月

 普段使いのロジカルシンキング(書評)

 

「ワンフレーズ 論理思考」 堀公俊 著 日本経済新聞社 

 

 論理思考(ロジカルシンキング)というと、ロジックツリー、ピラミッドストラクチャー、帰納法・弁証法などのキーワードを思い浮かべる方も多いかと思います。そして、ロジカルシンキングを学んだとしても、日常の業務にどうやって活かしていいのかが分からない方もいらっしゃると思います。本書は、ファシリテーターとして活動してきた著者の経験に基づき、論理的に考え、議論にしていくためのワンフレーズが24個あり、「基本」「応用」「実践」の3ステップで構成されています。一例を挙げると次のようなものがあります。

 

■なぜ?

 ロジカルシンキングでは基本となるフレーズです。原因と結果、理由と結論、根拠と主張という2段構えで考えていきます。

■要するに、例えば

 この2つをセットで捉えるとよいと思います。「要する」は、一言でまとめる(抽象化)、「例えば」は、ものごとを具体的に説明する(具体化)、という意味です。人によっては、要点だけ話し、内容がイメージしにくい話をする方もいらっしゃれば、具体例が多すぎて、要点が伝わらない話をする方もいらっしゃいます。常にこの2つをセットで考えると、相手に伝わりやすい内容になります。

■他に

 選択肢を広く出すときに使うフレーズです。ブレーンストーミングで意見を出すときによく使います。また思い込みで強い場合は、一息おいて「他にないだろうか?」と冷静になれるフレーズです。

■そもそも

 議論の目的など前提に立ち返るときにつかうフレーズです。議論するとつい別の方向に行ってしまうこともありますが、この「そもそも」を発することで、スタート地点に戻ることができます。

 

これらのフレーズは会議での打ち合わせに使えるのはもちろん、自らの考えを整理する・深める際にも使える一冊となっています。書類作成や企画書を作成しながら「なぜ」「要するに」などを自問自答しながら1人ディスカッションをしていくのです。そのうちに、そのフレーズが自分のものとなり、口ぐせのレベルまでになると、自分の思考の習慣になったと言えるでしょう。つい感覚的に考えてしまいがちな人、説明が分かりにくいと指摘される人などにオススメの1冊です。

 

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2017年8月

 

着地型観光の成功事例(書評)

 

そうだ、星を売ろう 「売れない時代」の新しいビジネスモデル 永井 孝尚 KADOKAWA

 

 本書は、2015年に6万人もの観光客が訪れる長野県・阿智村の「日本一の星空ナイトツアー」の誕生秘話を物語にして構成されています。広島の旅行代理店でも、この星空ナイトツアーのパックツアーとしてパンフレットが置かれています。

 

 この阿智村には昼神温泉があり、元々は中京圏の企業団体客を中心に潤っていたものの、2005年の愛知万博をピークに客数は減少傾向となりました。地域では値引合戦が繰り広げられ、廃業する旅館も出始めていたようです。

 

 そこで、阿智村の本当の強みを見つけた結果、2006年に環境省実施した「星が最も輝いて見える場所第1位」という強みを活かして、星空ナイトツアーを生み出したのです。本書では、この星空ナイトツアーの誕生秘話、今の成果に至った苦労を小説仕立てでわかりやすく描かれています。前回ご紹介した、SNSなどの情報発信の取り組みも記載されています。そして単なる読み物に終わらずに、経営理論と絡めながら、阿智村での経緯を解説しています。その根底に横たわるのは、以下のジョン・P・コッターの「変革を推進するための8段階のプロセス」(ジョン・P・コッター)です。

 

①危機意識を醸成する。

②変革推進のための変革チームを組織する。

③ビジョンと戦略を生み出す。

④変革のためのビジョンを周知徹底する。

⑤変革行動への権限を与え従業員の自発を促す。

⑥短期的成功、小さな成功を実現する。

⑦成果を活かして、さらなる変革を推進する。

⑧新しい方法を企業文化に定着させる。

 

このジョン・P・コッターの考え方が地域づくりの核となると本書では解説しています。

 

着地型観光に取り組まれる方、地域での取り組みを推進する方にとって、取り組みの疑似体験できる良書だと思います。 

 

 

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2017年7月

 

インターネットを活用した情報発信のポイント

 

 企業支援において、ホームページを含めた情報発信のご相談を頂くことがあります。今回は小規模企業におけるホームページの作成とあわせて、情報発信のポイントについてご紹介したいと思います。

 

●ホームページの作成ツールの選び方

 ホームページの作成において、どのツール(道具)を選ぶかが、運用面も含めて考えると重要になります。ホームページ作成ツールで主流なのはWordPress(ワードプレス)です。WordPressは多くのホームページ制作会社が使用されており、スキルさえあれば、デザイン性・自由度が高いホームページを作成することができます。その一方で、ホームページ・パソコン初級者にとってはハードルがやや高く制作をお願いしたものの、更新が難しく、ほったらかしのホームページになってしまいがちです。更新が少ないホームページは検索されにくいこともあり、折角、投資したホームページの効果が薄いものになります。

 

 そこで、支援においてご紹介しているのは、JIMDO(ジンドゥー)というホームページ作成ツールです(https://jp.jimdo.com/)。文字(原稿)と画像・写真があれば、簡単にホームページを作成でき、スマートフォン向けサイトにも自動的に変換されます。WordやPowerPointの初級レベルの方なら、比較的馴染みやすいです。私もこのJIMDOでホームページを作成・運用しており自分自身が苦労した点やコツなどを踏まえて、できるだけ簡単にホームページができるようにお話ししています。原稿と写真があれば、店舗のホームページ(2~3ページ程度)であれば、2時間もあれば、完成してしまいます。無料版から始められ、機能が充実している有料版に変更することができます。ただし、無料版では、この後お話しする、SEO(検索エンジン最適化)対策が弱い為、使いやすさを実感されたら有料版に変更することをオススメしています。

 

以上を踏まえて、WordPressなどの他のツールと比較して、どこまでの費用(月額コスト)と時間(更新作業)をかけられるかを見極めながら、判断されるとよろしいかと思います。

 

●情報入手は、主体(検索型)と受動(口コミ型)

 

企業の情報発信の手段として、ホームページでの発信の他、FacebookやInstagram などSNSでの発信が盛んになってきました。しかし、ツールに溺れることなく、自社の活用目的を整理して使い分ける必要があります。

 デジタルの世界に限らずアナログでも、私達は2つの手段で情報を入手しています。一つは主体的な情報入手で、自ら調べて情報を入手するやり方で、デジタルでは「検索型」です。分からないことがあったら、調べてみるといった類いのものです。

もう一つは受動的な情報入手で例えば CMや雑誌・ラジオを見てたまたま見て、聞いて情報を入手するやり方で、デジタルでは、SNSなどでたまたま見て知ったというような「口コミ型」が挙げられます。

 

 これをインターネットでの情報発信にあてはめると、「検索型」にはホームページとブログ、「口コミ型」にはSNSが有効です。この違いは、情報の寿命の違いです。ホームページとブログの情報は、「ストック型」と呼ばれ、ネット上に蓄積されていきます。一方、Facebookの情報はフロー型と呼ばれ、一旦見たら、次に見る機会はなかなかありません。

 

そのため、自社にとってはどちらに力点を置いて、発信するかを考えなければなりません。瞬間的な口コミの拡散を狙うのであればSNSでしょうが、お困りごとの解決など利用者に探してもらいたいのであれば、ホームページとブログなどを中心にする方が望ましいです。ポイントは、お客様がどうやって自社のことを知ってもらいたいのかという観点において、活用度合いを決めていくのです。

 

●ワンコンテンツ・マルチユース

 このようにお伝えすると、あれもこれも対策できないというような印象を持たれるかも知れません。そこで、お伝えしているのが「ワンコンテンツ、マルチユース」という考え方です。これは一つのコンテンツ(情報)を複数の使い方をするというものです。

 シンプルな一例を挙げると、例えばブログで書いた内容をFacebookなどのSNSに投稿するなどの方策です。ブログで、コンテンツとして蓄積され、後に検索される効果も得られる一方で、ブログの紹介をFacebookで投稿することで拡散を図るというものです。

 

 この「ワンコンテンツ・マルチユース」をおこなうと、ホームページとブログが自社で更新しやすいツール、もしくは対応が早いホームページ制作会社を選ぶ必要があり、情報発信は発信内容だけでなく、ツールや運用を総合的に考えていく必要があります。 

 

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2017年6月

 

目標達成には、「内側」から「外側」から

 

 前回、「目標達成できない理由」の1位が「目標を立てたこと自体を忘れてしまった」ということをお伝えしました。目標を忘れないことを前提として目標達成における、重要なポイントとして「内」と「外」があります。

 

 

 目標達成でよくあるテーマである、ダイエットを例に挙げると、ここ1年、TVなどでRIZAP(ライザップ)のCMをよく見かけます。RIZAPでは、単なる個人レッスンのトレーニングジムではなく、毎日の食事指導もセットになっているそうです。毎日食べたものを記録し、トレーナーに報告しないとならないようで、その食べた内容に応じた食事指導をしてくれるという仕組みだそうです。理想の体型にしたいという願望に対して、「外部の強制力」を活用したサービスです。言い方を変えると、「外部の強制力」がなければ、自分に負けてしまうという方に向けたサービスです。

 

 

 一方で、10年前に、「計るだけダイエット」というものが流行りました。NHKの「ためしてガッテン」で放映され、関連書籍も多く出版されました。体重を計って、減量しなければならないという意識付けを自らおこない、それに向けて、食習慣・運動を見直した結果、体重が減るわけです。そして体重が減ると、また嬉しくなり、食習慣・運動に一層、気をつけるという循環です。こちらは簡単そうですが、自らの「内なる信念」がないと続かないやり方です。

 

 

 つまり、「外部の強制力」か「内なる信念」のどちらか一方、もしくはその両方を組み合わせながら、人は目標達成していると思うのです。

 

 これは当然、経営者にも当てはまります。創業や新規事業など新しい取り組みの時は、「内なる信念」で進んでいくケースが多いですけれども、計画通りに進まなければ心が折れてしまい、その信念が続かない社長もいらっしゃいます。自分は信念が弱いと自認している、とある社長は、金融機関の担当者や経営指導員さんなど呼んだ定期的なミーティングを毎月おこない、前月の行動の結果を報告し、今月やるべき事を決めていらっしゃいます。また別の経営者は、経営者が集う勉強会に定期的に出席し、同じように行動を宣言してまた自社で取り組みをされたりしていらっしゃいます。自ら強制的に仕組みをつくったり、既にある仕組みに加わったりして、仕組みによって自らを律しているわけです。そのような経営者からは、「自分だけでは続かないから・・・」ということをおっしゃたりしています。

 

 

 経営者といえども、信念の塊で日々過ごしていらっしゃるわけでありません。時には自分に弱く、日々の日常に流されたりもします。そこで、経営者から求められれば、外部の立場から、実行しているどうかの視点でチェックすることも重要な役割だと思います。

 

 

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2017年5月

<5月号の記事>

 

 

目標が達成できない理由は?

 

 先日、とあるWebサイトにて20~30代の会社員男性200人に実施した、目標達成に関するアンケート(R25調べ/協力:アイリサーチ)を見かけましたので、ご紹介します。まずは、目標達成できたかどうかの質問です。

 

〈社会人になってから、節目に立てた目標を達成したことはある?〉

 

 ・達成したことがある 30.5%

 ・達成したことがない 69.5%

 

 目標を達成した人によれば、達成した内容として、

営業数字の達成など「仕事関係」や、

資格取得など「勉強関係」が多かったようです。

 

 

 興味深いのは、次の質問です。

 

「達成したことがない」と回答した139人に向けて、

目標を達成できなかった理由をあげてもらったところ、

次の回答がありました。

 

〈目標を達成できなかった理由TOP5〉

(8項目から上位2つを選択。1位=2pt、2位=1ptとして計算)

 

 1位 目標を立てたこと自体を忘れてしまった 107pt

 2位 忙しくて目標どころではなかった 65pt

 3位 目標が曖昧すぎた 52pt

 4位 動機が弱かった 42pt

 5位 目標が高すぎた 40pt

 

1位の「目標を立てたこと自体を忘れてしまった」という回答が、

意外と思える一方で、自分にも当てはまり、ハッとするような

回答だったのではないでしょうか?

 

 支援先にて、企業の経営計画策定や、社員の目標設定などの

アドバイスをする一方で、その後のフォローでお伺いすることもあります。

 

定期的にお伺いしている顧問先では計画や目標を忘れないように確認する

仕組み・仕掛けができていますが、そうでない先では、

「計画を作ったまま、見ていない」などの話をお伺いします。

 

計画策定も重要ですが、その計画を忘れない仕組み・仕掛けの取り組みが、

今回のアンケート調査でもご理解いただけると思います。

 

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2017年4月

<4月号の記事>

ゴールデンウィークにオススメの本

 

●小さな会社の稼ぐ技術 栢野克己 日経BP社

 

本書はランチェスター経営を実践する小さな会社の多くの事例をまとめたものです。ランチェスター経営では、中小企業や個人事業主が取るべき戦略は「弱者の戦略」として、1位の会社や大企業の「強者の戦略」との違いを明確にして戦うべきとしています。

 

 その違いのポイントは、以下の4点です。

 

 (1)差別化:弱者は強い会社と違うことをする

 (2)小さな1位:弱者は、小規模1位、部分1位、何かで1位

 (3)一点集中:弱者は、あれこれしない。1つに絞る

 (4)接近戦:弱者はエンドユーザーに直接営業する

 

 このランチェスター経営は、ソフトバンクやエイチ・アイ・エスの創業期でも活用されたと本書で紹介されています。

 

 更に本書では、経営の8大項目のうち、①商品、②地域、③客層、④営業、⑤顧客(リピート・ファン・信者づくり)の視点と、先程の弱者の4大基本戦略を組み合わせながら、事例が紹介されています。実は本書の特徴は、その事例が豊富であるということです。飲食業、英会話、人形制作、弁当店、保険代理店、機械商社など幅広い業種の事例があるので、何らかのヒントになろうかと思います。

 

 本書でも、いわゆる差別化についての重要性が説いており、大手がやりたがらない「面倒くさい」系を考えるというのは、特に興味深い視点でした。手作りや個別対応などが代表的な事例ですが、私の支援先でも面倒くさいことをコツコツやることで差別化を図っている先もあります。

 

 そういう意味で、本書は豊富な事例をもとに、これからの中小企業・個人事業主の経営にヒントをあたえてくれ一冊だと思います。

 

●リストマニアになろう!理想の自分を手に入れる「書きだす」習慣

ポーラ・リッツォ(飛鳥新社)

 

 本書は題名の通り、仕事やプライベートでやりたいことをリスト(ToDoリストなど)にしよう、それを実行する人をリストマニアと呼んでいます。リストにすることは、飛行機のパイロットや医師だけでなく、著名人で言えば、トーマス・エジソン、ジョンレノン、マドンナなど多くの成功者が実践していたようです。

 

 もちろん、リストをつくることの重要性はご存じの方もいらっしゃるかと思います。本書では改めそのメリットを以下の6点整理しています。

 

1 不安が減って時間が増える

2 脳のパワーが高まる

3 目的に集中できる

4 自信が高まる

5 思考の整理ができる

6 心の準備ができる

 

 私もセミナーで、ビジョンや取り組むアイデアをまずは数多く書きだす(リストアップする)ことをオススメしておりますが、リストづくりに多くのメリットがあることに再発見しました。

 

もちろん、TODOリスト以外に、「良い点・悪い点リスト」「人生リスト」などいろんなリストを紹介しております。仕事に限らず、プライベートでも活用できると思います。

 

また、手書きだけでなく、Evernoteなどデジタルの活用も記載されておりますので、ゴールデンウィークにリストマニアになるのも、充実した過ごし方になるかも知れません。

 

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2017年3月

<3月号の記事>

知っているかどうかではなく、実践しているか? 

 

先日、インド駐在経験がある友人と話す機会がありました。

 

彼は昨年までインドに4年駐在し、上司の日本人社長と2人で、インド人260名がいる会社のマネジメントをしていたようです。

 

彼が駐在する前のその会社は、ボロボロの状態であり、そこで彼がやったことは、やるべき事の「見える化」でした。

 

つまり、

・その会社でやるべき事の整理

・やるべきことの必要な目標値の設定

を設定し、ガントチャートに落とし込んでいました。

 

 実は私も顧問先でガントチャートでの年間計画をオススメしており、私自身も作成しています。ガントチャートは右のようなスケジュールを示した表であり、建設業・製造業・ソフトウェア開発業で使用することが多いです。私も前職のITシステム営業時代によく活用していました。皆さまの中でも、ひょっとしたら、補助金の計画などで使われたことがあるかも知れません。

 

このガントチャート式年間計画の作成には、いくつかのポイントがあります。例えば、通常は1つのプロジェクト(例えば補助事業)だけをまとめますが、このガントチャート年間計画では、会社や部門でおこなうことをすべて一覧にしてまとめていきます。

 

 私の友人がインドでやっていたのもまさにこれと同じです。やるべきことを全てガントチャートに掲載し、「どの取り組みが進んでいるのか?進んでいないのか?」「いつが忙しいのか?余裕があるのか?」を皆で共有して、定期的に対策しています。インドならではのマネジメントのノウハウも参考になりましたが、使えるツールは万国共通というのを実感しました。

 

 このガントチャート自体はずいぶん前から使用されているツールではあります。経営者の方でも知っている方も多いのではと思います。しかし、「知っているかどうか」という観点ではなく、「実践しているかどうか」という観点で企業を支援・アドバイスされることも重要だと思います。

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2017年3月号
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2017年2月

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<2月号の記事>

自分を劇的に成長させる PDCAノート 岡村 拓朗著(フォレスト出版)

 

 前月に続いて、今月もPDCAに関する本です。本書の著者は外資系企業のマネージャーであることから、経営者のみならず、企業や組織で働く方にも、有益な一冊です。

 

 本書の冒頭、「成果を出している人は、PDCAを高速で回しており、一方、ダメな人ほど、PDCAがまったく回っていない」と述べています。そして、「回っていない」のはそもそも、多くの人が「PDCAの回し方を知らない」と指摘しています。

PDCAを「知っている」状態から、「回している」状態にするためには、「見える化」「仕組み化」「習慣化」が重要として、その3つの観点から、毎日ノートに記載するノウハウやフォーマットを存分に公開しています。その考え方はシンプルで、今日の目標と、それに向けたPDCAをそれぞれ書くというものです。いつでも、誰でもできる簡単なものです。

 

 興味深かったのは、この、PDCAノートを書くという行動が続けられない人は、計画通りにできなかったことを「失敗」と捉えている一方で、続けられる人は、「気づきと改善策が生まれるチャンス」と捉えているということです。方法を学ぶ前の、意識の前提が異なると、いくら方法を学んでも「効果がない」「続かない」ということを合わせて伝えてくれています。

 

 そのほか、G-PDCAとして、PDCAを回す前の、ゴール(Goal)設定の重要性を述べており、会社では、将来のビジョンや年間の経営目標に該当します。それらの達成に向けた、実行をサポートするものとして、PDCAノートのあり方と活用を示してくれる一冊です。

 

 


2017年1月号

<1月号の記事(1)>

自らを動かすエンジンを探す

 

 2017年、みなさまは今年の目標を設定されましたでしょうか?昨年も同じフレーズで始めましたが、今回は企業の社長やオーナーさんに関するお話したいと思います。

 

 昨年、「将来のビジョンや戦略を考える」というテーマのセミナーにて何カ所かでお話させて頂きました。そこでお話したことの一部をお伝えしたいと思います。

 

 「ビジョンを考える大切さ」はよく聞く話かと思います。会社のビジョンの場合、〇年後に会社の売上を〇〇円、利益を〇〇円にするというのがビジョンの一例です。このビジョンを考える際に、重要なことが一つあります。それは、社長やオーナーがそのビジョンを本当に実現したいかどうかというモチベーションがあるかどうかです。さまざまな社長・オーナーに、どうしてそのビジョンを考えたかと聞くと、「セミナーで考える機会があったから」「金融機関に提出を求められたから」「経営指導員さんやコンサルタントに提案を受けて」など理由は様々です。

 

 しかし、ビジョンを作成したものの、中には、そのビジョンへのモチベーションや納得感がないため、ビジョン実現に向けた活動は見られず、いつも通りの業務をおこなってしまっている社長やオーナーもいらっしゃいます。

 

 セミナーでは、会社のビジョンだけではなく、個人の夢、すなわち社長・オーナーの夢もあわせて考えることをお伝えしました。社長・オーナーも1人の人間ですから、個人の夢(欲しいもの・したいこと)や将来の働き方などを考えてもらいました。個人の夢と会社やお店のビジョンと繋がりを持たせることで、モチベーションを上がるケースがあります。セミナーでは、それぞれ考えた会社やお店のビジョン・個人の夢を本当に達成したいと思うかどうかを、いろんな視点から何度も自問自答してもらいました。

 

 一方で、ビジョンを掲げても「忘れてしまう」「行動しない」こともよくあります。そこで、ビジョンを持ち続けながら、行動することが重要となります。セミナーでは、行動が続かない理由として、

 

①ビジョン(会社・個人)が実は盛り上がらない(上記の内容)

 

②ビジョンに繋がる戦略・戦術なのか? と希望や確信が持てず腹落ちしない。

 

③自分の内なる声が邪魔をする(現状維持でいい、失敗したくないなど)

 

④周りの声・反対で心が折れる

 

⑤応援者・協力者・伴走者がいなくて心が折れる

などをご紹介し、社長・オーナーのみなさんにて、話し合ってもらい、これまでの自分の行動が続かないケースを意見交換してもらいました。社長・オーナーには、指示する人がいないので、行動するかどうかは、ほとんど自分次第です。「自分に信念があれば・・・」という声も聞こえてきました。

 

 だからこそ、行動を続けるためのポイントの1つとして、会社のビジョン・個人の夢が、自らを動かす原動力となるエンジンかどうかをもう一度見つめ直す必要があります。そのエンジンが見つからないまま走っていても、何かの障害があれば、すぐに失速し、現状通りとなってしまいます。セミナーでは、戦略や行動計画もさることながら、そのエンジン探しの重要性をお伝えしました。ビジョン・経営計画のお手伝いをされる参考になればと思います。

 

<1月号の記事(2)>

「鬼速PDCA」 冨田和成著(クロスメディア・パブリッシング)

 

 上記にて、ビジョン実現に向けたエンジンの重要性をお伝えしました。本書はビジョン実現に向けて、プランを立て実行しチェックし検証(調整)する、PDCAについてまとめた本です。著者はPDCAを「前進するためのフレームワーク」と捉えており、書名に「鬼速」と記載されているのは、PDCAのサイクルを短時間で回していく重要と考えているからです。例えば、他社では週1回おこなうようなチームミーティングを、著者が経営する会社では週2回おこない、スピーディーな課題解決を図っているようです。

 

本書は、PDCAそれぞれの段階で「何を」「どのように」考えるべきかという視点を提示しております。特にPDCAのAはAct・Actionと解釈されることが多いですが、本書では、Adjust(調整)と捉え、

 ・ゴールレベルの調整

 ・計画レベルの大幅な調整

 ・解決策や行動レベルの調整

 ・調整不要 

の4パターンで考えていくなど、PDCAで行き詰まるよくある原因とその対策についてもまとめてあります。

 

 また、PDCAをおこなっていくためのベースとなる考え方(ロジックツリー・マインドマップ・KPIなど)なども盛り込まれています。

 

 経営者・管理職の方に限らず、一般社員・新入社員の方にも読んで頂きたい一冊です。

 

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